韓国のセルフヘルプグループ「ナヌン」
- 運営事務局
- 5 日前
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更新日:3 日前
外国のきょうだい支援に載せた韓国のグループの方に、アーティストの小川美陽さんが訪韓された際にインタビューをして、その報告を共有してくださいました。
韓国のグループは「NANUN」といい、韓国語で「私」を意味し、「私の人生の主語は私自身である」という思いが込められています。
・代表者のお名前を教えてください。
こんにちは、私の名前はイ・ウンアです。「NANUN」( ナヌン : 訳すと"I" or "Me" )という、障害者のきょうだいのための自助グループのメンバーです。私は現在、このグループの代表であり、幹事のひとりでもあります。私には発達障害のある妹がいます。NANUNは、発達障害、精神障害、知的障害などがあるきょうだいを持つ人のためのオープンなグループです。
・どのように活動が始まりましたか?
2015年に、心理カウンセリングを受ける中で、私は自分が "きょうだい"であることによる感情的な課題を経験していることに気づきました。
私の両親は、障害のある妹のことをいつも深く心配していました。自分ではその気持ちに気づくことなく、私はどこか完璧な子でなければならないと信じて育ち、両親の亡き後に妹の面倒を見るのは自分だと思い込んでいました。私はこの気持ちを家族と分かち合うことができませんでした。
「他のきょうだい達も同じように感じているのだろうか? 私だけではないはずだ。他の人たちはどのように生活しているのだろう? 他の人たちは、このような困難にどのように対処しているのだろう?」そう考え出し、私のような境遇のきょうだいを探し始めました。
最初は、そのような集まりはすでにあると思っていました。しかし2015年当時、きょうだいの支援団体は知られていませんでした。様々なネットワークを通じて、会うことができたのは2人ほどでした。その人たちと話しているうちに、私は1人ではないことに気づきました。私のような人間にも人生の選択肢があることを知り、慰められました。私たちの経験を分かち合うことで、自分の人生に対する新たな視点を持つことができたのです。私がこの経験によって助けられたように、誰にも相談できずに苦しんでいるかもしれない人たちをサポートしたいと思いました。
志を同じくする人たちとともに、私たちはNANUNを立ち上げ、今日に至ります。グループを立ち上げるにあたり、私たちはピアサポートの様々なモデル、特に有名な自助グループであるAA (Alcoholics Anonymous / アルコール依存症)の形式を参考にしました。
・人数構成や活動内容などを教えてください。
現在私たちは、 複数のプログラムをネットワークを通じて実施しています。
主な集まりは「Tea Time in the Bamboo Forest(安全な場所という意味)」と呼ばれるもので、毎回約20人のきょうだいが集まります。
・"Tea Time in the Bamboo Forest "「竹林でティータイム」(月1回):
参加者が様々な議題について語り合い、各々の経験を共有する場。会話や作文の練習を通して、メンバーが本当に望む生き方を発見することを目指す。
・"Rediscovering Myself – Psychological Testing and Counseling"「自分再発見-心理テストとカウンセリング」(継続中):
きょうだいとしての経験もあるカウンセラーが、心理テストや解釈を通して、参加者が自分の内面を探求する機会を提供する。情緒的困難の徴候がある人には、さらにカウンセリングを行う。
・"Living Together with Non-Disabled Siblings – Parent Education"「健常のきょうだいと共に生きる-親の教育」 (毎月):
障害のある子どもと健常の子どもを育てている親のためのセッション。健常のきょうだいが経験すること、感じることを共有し、家族がどのようにきょうだいの幸せをサポートできるかを指導する。
このほか、福祉政策や支援制度などをテーマに、会員から依頼のあった講演会も随時開催しています。
・みなさんどのような悩みを抱えていますか?
きょうだいの多くは、幼い頃から障害のある兄弟姉妹と両親の苦労を目の当たりにします。生き延びるために奮闘する両親を見て育つと、きょうだいはこれ以上負担を増やさないために、「良い子」にならなければならないと感じることがあります。自分も愛されたい、家族の一員として認められたいという思いから、懸命に役に立とうとするのです。
私もNANUNに参加する前は、このような生き方をしていました。しかし、他人を喜ばせるためだけに生きることは、自分自身を愛する能力を失い、自分が本当に望んでいるものを知る能力を失うことに繋がります。たとえ自分の望みを見つけたとしても、自分の幸せを追求すると障害のある兄弟姉妹や両親を見捨てるような罪悪感を感じるかもしれません。しかし、私たちは一生を他人中心に生きることはできません。
NANUNは会員に、自分はどうなのか? 自分は何者なのか? 自分は何を望んでいるのか? と問うことを勧めています。このような質問は、普段きょうだい達に投げかけられることが少ないです。故に、私たちは自分自身に問いかけ、自分自身の人生を生きる方法を見つけるために、お互いに支え合うのです。
・韓国でこのような活動をしている団体は他にありますか?
今のところ、同じ活動をしている他の団体は聞いたことがありません。もちろん、私の知らないところもあるかもしれませんが。
・NANUNの今後の展望を聞かせてください。
私たちの目標は、きょうだい達が、誰かのきょうだいとしてだけでなく、丸ごと一人の自分として生きることを学ぶ手助けをし続けることです。私たちは、健やかな境界線を維持しながら家族をサポートする方法を見つけることを目指しており、これを可能にするための活動を続けていきます。
NANUNは韓国内でもインタビューを受けており、下記のサイトで読むことができます。
韓国語で書いてありますが、Google翻訳を使えば大意は読み取れます! (リンクはいずれも2025/10/13に確認)
カン・ヘミン記者 入力 2018.03.16 16:07
カン・ヘミン記者 入力 2018.03.23 10:19
チャ・ミギョン記者 承認 2020.04.27 14:51 修正 2020-04-27 14:52
カン・ヘミン記者 入力 2021.11.10 11:05
【Nanunのサイトとインスタグラム】
【集まりに参加したきょうだいのエッセイを集めた書籍】
★나는, 어떤 비장애형제들의 이야기(「私は」、健常のきょうだいたちの話)2018年発行
★‘나는’ 괜찮지 않아도 괜찮아(「私は」大丈夫でなくても大丈夫)2021年発行
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