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2019年講演会・ワークショップの報告(第4回)


 2008年熊本での開催以来約11年ぶりの開催となった本トレーニングは、共同主催者のNPO法人しぶたねが「第11回よみうり子育て応援団」大賞(182団体中1位)を授賞し、その賞金を基に開催することができました。また、シブショップ創設者のドナルド・マイヤー氏の2018年秋の引退に伴い、ドナルド・マイヤー氏が実施するトレーニングは今回が最後となり、大変貴重な機会となりました。

 通訳は過去3回にもお世話になった金子久子さんにお願いしました。

 トレーニングには30名の受講者が参加し、トレーニング終了後シブショップとして新たに登録した団体は4団体(きょうだい会shirabe・京都子どもきょうだい会 えるも・かるがも花々会 かるがもシブショップ・亀田総合病院 KAMEDA Sibshops)となり、現在日本では9団体がシブショップとして登録し、活動しています。(2021年10月現在)。


主催:きょうだい支援を広める会/N P O法人しぶたね

開催日時:2019年3月16日(土)・17日(日)

対象:きょうだい児のためのプログラム運営の実現度の高い方

定員: 30名

参加費:10,000円

会場:戸山サンライズ 大研修室

内容

<1日目:講演会「病気や障がいがある子どもの『きょうだい』支援」>

「きょうだい」が持ち得る悩みと人間的成長の可能性

「シブショップ」を始めましょう

<2日目:ワークショップ>

病気や障害のある子どもの「きょうだい支援の実際」―シブショップを体験してみよう

 

開会の挨拶 きょうだい支援を広める会 有馬靖子


本日は年度末のお忙しい時期に、予定を調整してお越しいただきどうもありがとうございます。


今日ここにマイヤーさんがいてくださるというプロジェクトが実現するまでの歴史も含めて、講師のマイヤーさんと通訳の金子さんのご紹介をさせていただき、それをもって開会の挨拶とさせていただきます。


マイヤーさんは最初障害児のお父さんのサポートに取り組み、その後きょうだい支援を始められました。

最初のシブショップは1982年に行われました(37年前です)。

そして、1990年に「きょうだい支援プロジェクト」を設立し、シブショップを全米に広める「仕事」を始められました。この「仕事」としてというところが、非常に重要なのです。きょうだい支援を広めるためには、少なくとも一人それで生計を立てられる人がいなくては、きょうだい支援は広がらないのです。


インターネットの黎明期(れいめいき)の1997年に、私はインターネット経由でマイヤーさんと出会いました。

私の欲しかったサポートはここにあると思い、すぐに(翌1998年)マイヤーさんに会いに行きました。

そして「きょうだい支援」という考えを日本にも根付かせたいと考え、「きょうだい支援の会」として2001年と2005年にマイヤーさんを日本にお呼びしました。

そして、2001年の2日間トレーニングに参加し、シブショップを実践してくださった(現在は休止)井上雅彦さんから、「きょうだい以外も参加できる、きょうだい支援に関する情報交換の場を創ってほしい」と要請があり、「きょうだい支援を広める会」を立ち上げました。


通訳の金子さんは、実は私の高校のときのクラスメイトなのですが、きょうだい支援活動を始めたばかりの頃の私をひょんなことから見つけてくれて、2001年のときから通訳を務めてくださっています。

2人息子さんがおられるのですが、上の息子さんに脳性麻痺と知的障害があります。


さて、マイヤーさんにはその後2008年に日本自閉症協会の全国大会に来ていただき、今回は4回目となります。

2008年の2日間トレーニングの受講生の一人が、本日きょうだい支援を広める会の一員として司会を務めてくださる滝島真優さんでした。滝島さんは、2008年から栃木県で障害児のきょうだいのためのプログラム「きょうだい会SHAMS」を始められ、本日資料としてお配りしている翻訳冊子(初版は2001年発行)をバイブルだとおっしゃってくださっています。


今回マイヤーさんをお呼びすることができたのは、大阪のしぶたねさんが全国182団体の中から選ばれ、よみうり子育て応援団大賞を受賞されたからです。

しぶたねは、2001年の2日間トレーニングに参加された清田悠代さんが立ち上げ育ててきた、病気の子どものきょうだいをサポートする団体です。

マイヤーさんは昨年(2018年)10月に引退されたので、ほんとうにぎりぎりのタイミングでした。


しぶたねさんをはじめとする様々な方の努力によって、日本でも確実にきょうだい支援は広まってきていますが、「仕事」の一環としてきょうだい支援に取り組んでくれる方の数では、アメリカに大きく引き離されています。

どういうことかをもう少し丁寧に説明しますと、アメリカのシブショップはしかるべき組織の有給スタッフが運営の中心を担い、そこにボランティアも関わるという形で運営されているけれど、日本ではそうではないということです。

本日の講演と明日のデモンストレーション・シブショップ、仙台での講演、大阪での講演が、このギャップを縮めるための強力な一助となることを願っています。


以上で開会の挨拶とさせていただきます。


※当日述べた挨拶を少し加筆修正しています。


 

空港出迎え 2019年3月14日

 「Welcome to JAPAN」のメッセージボードとともにドナルド・マイヤー氏を成田空港でお出迎え。

 長旅の疲れも見せず、素晴らしい笑顔で来日されたドナルドマイヤー氏。マイヤー氏の来日は2008年熊本での講演以来、11年ぶりとなりました。

1日目 講演会 2019年3月16日

 1日目は、ドナルド・マイヤー氏による「『きょうだい』が持ち得る悩みと人間的成長の可能性」「『シブショップ』を始めましょう」に関する講演でした。

北は北海道、南は長崎から130名超の方々にご参加いただきました。また、受付業務はたくさんの仲間が手伝ってくださいました。改めて感謝申し上げます。

 講演会の途中では、日本各地で運営されているきょうだい支援団体の運営者を前に呼んで讃えてくださったドナルド・マイヤー氏。きょうだい支援の輪の広がりを実感できた1日でありました。

2日目 2019年3月17日 デモンストレーションシブショップ

 2日目は、ドナルド・マイヤー氏によるデモンストレーションシブショップでした。30名の受講者と子どもの参加者12名、スタッフ4名が参加しました。シブショップ創設者ドナルド・マイヤー氏によるデモンストレーションシブショップは今回で最後となりました。シブショップファシリテーターと認定された受講者の皆さまが全国各地できょうだい支援の輪を広げてくださっています。

 また、子どもの参加者の保護者の方を対象に保護者会を開催し、11名の保護者、スタッフ3名が参加しました。



仙台講演 2019年3月19日

東京で行われた講演会・ワークショップ終了後、ドナルド・マイヤー氏は仙台へ移動。

認定NPO法人アフタースクールぱるけ(認定シブショップとして「あみーごクラブ」を運営)主催の講演会「病気や障がいがある子どもの『きょうだい支援』の必要性」が開催されました。

【主催者】認定非営利活動法人アフタースクールぱるけ あみーごクラブ https://paruke.com/amigo/


大阪講演 2019年3月21日

仙台講演終了後、大阪へ移動。NPO法人しぶたね(認定シブショップ)主催の講演会「きょうだい支援の原点とこれから」が開催されました。ジャパンツアー最後の集大成と言える素晴らしい講演会となりました。

講演会の最後には、4月10日を「きょうだいの日」として日本記念日協会で登録されたことに関する発表がありました。「きょうだいの日」は、NPO法人しぶたねが「きょうだいの日」を日本で記念日として広めていくことにより、きょうだいを大切に思うことやきょうだいへの応援が届く日として定着させていくことを目標に制定されたものです。ドナルド・マイヤー氏にも発起人になっていただきました(発起人第1号!)。

【主催者】NPO法人しぶたね https://sibtane.com

きょうだいの日に関するサイト https://sibtane.com/siblingsday


〜台湾講演〜

ジャパンツアー終了後、台湾へ。


台湾到着は2019年3月23日、大人のきょうだいのためのワークショップが3月24日。 講演は3月25日。 本会代表の有馬靖子がドナルド・マイヤー氏と共に招聘され、財團法人育成社會福利基金會(Yu-Cheng Social Welfare Foundation)主催の講演会にて日本のきょうだい支援について講演を行いました。 この講演が実現したのは、台灣障礙者手足資訊網(台湾障害者のきょうだい情報ネットワーク)のCaya Chiuさんのおかげでした。

講演の翌日の3月26日は主催者のスタッフのお一人が素敵な観光旅行に連れて行ってくれました。

そして、3月27日にドナルド・マイヤー氏も有馬靖子も台湾を発ってそれぞれの母国に帰りました。



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2日間トレーニングについて、報告してくださった会報など。 この場を借りて、改めてお礼を申しあげます 『ぱどる』23号 平成18年 寒い冬ですね号 分科会活動報告『「きょうだい」支援講演会に行って来ました!』 日本水頭症協会 (*2005年の第2回講演会) 『障害者福祉とはなにか』 手塚直樹 著 (2002.4.15) ミネルヴァ書房 ISBN 4-623-03594-8 『福祉広報』2001年10

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