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きょうだいの悩みと人間的成長の可能性

きょうだいが持ちうる悩みと人間的成長の可能性(得がたい経験)、アダルト・チャイルドとしての生きにくさの解消方法を順次掲載します。

きょうだいが持ちうる悩み

 

1.過剰な同一視/心配

2.恥ずかしさ

3.罪悪感

4.孤立/孤独感

5.正確な情報の欠如

6.将来に関する不安 (2017/8/12更新)

親亡き後に自分が負う責任は?
この不安をなくすために,親が将来の計画を立て,きょうだいに伝えるのが大事なのですが,そもそも障害者のためのサービスが足りないという現実もあります。アメリカで「待機リストをなくそう!」という組織が活動を始めているそうです。日本にもこうした組織が必要な気がします。(2010.6.27記)

サイトリニューアルに伴いリンクを確認したところ,残念ながら「待機リストをなくそう!」という組織はなくなってしまったようです。プロモーションビデオは残っていました。(2017.8.12記)

The National Organization to End the Waitlists

上記の組織作成のプロモーションビデオ(youtube

 

親代わりの一端を担うことになったときの不安

自分の家庭や仕事とどう両立させることができるか? アメリカでは成人したきょうだいが障害のある兄弟姉妹の用事のために有給休暇が取れるようにする法律「Family Leave Insurance Act」を求める運動も行われています。日本にもほしいです。

 

自分のきょうだいの障害は遺伝性のもの?
遺伝カウンセリングを必要とする人もいます。

 

7.不満/憤り/恨み/嫉妬 (2017/8/12更新)

【ねたみ Jealousy】
子どもに障害があったり,むずかしい病気になったりすれば,親がその子に時間もエネルギーをたくさん割くことになるのは,当然のことです。

けれども,ほかの子どもも親を必要としていることを,親が忘れてしまったら…?
親も近所の人も親戚の人も,みーんな障害児や病気の子にだけ,注意を払っていたら…?
何かを達成できたことを親に報告しても,自分は「あ,そう,次もがんばってね」とだけしか言われないのに,兄弟姉妹が達成したどんな小さいことにも親が大騒ぎをするとしたら…?

きょうだいは自分は無視されていると感じるでしょう。
自分も具合が悪ければよかったと思ってしまうでしょう。
親が自分に注目してくれるのは,何かトラブルを起こしたときだけだと感じるでしょう。

ぼくのことも見て!,わたしのことも見て!という「きょうだい」のサインを見逃さないでください。

 

参考文献;
Living With a Brother or Sister With Special Needs: A Book for Sibs

8.増える介護負担

9.完璧への圧力 (2017/8/14更新)

完璧への圧力は,スーパーキッズという表現をされることもあります。米国きょうだい支援プロジェクトが作成した「きょうだいが親とサービスプロバイダーに知っておいて欲しいこと」には20項目があるのですが,その第3番目に挙げられているテーマでもあります。

 

・きょうだいは「自分はスーパーキッズになって,勉強もスポーツも何もかも完璧でなくてはいけない」と思っていることがあります。

・圧力の出どころは,
親からの圧力。
祖父母,近所の人からの圧力
自分でかける圧力。
と,様々です。

・圧力をかける理由には,
障がい児のできないことを補償するため。
良い子でいれば,親に振り返ってもらえるため。
などがあります。

 

・今きょうだい児を育てている親御さんに伝えたいことは,次の3つです。
健常だからできて当たり前と思わない。
障がい児が何か小さなことを達成したときに褒めるのと同様に,きょうだいが達成したことをきちんと褒める。
親戚や近所の人からの圧力があることに気づいたときには,圧力をかけないようにお願いする。

・「きょうだいが親とサービスプロバイダーに知っておいて欲しいこと」の翻訳文は,きょうだい支援の会のサイトの「The Sibling Support Project日本語版」で読むことができます。

参考文献:
Special Siblings by Mary McHugh
Sibshops: Workshops for siblings of children with special needs by Don Meyer and Patricia Vadasy

10.関わり過ぎ (2017/8/12更新)

かかわりすぎとは,何かあるいはだれかにくっつきすぎていることを意味します。障害児のきょうだいの場合には,自由な時間をすべて,障害のある兄弟姉妹のめんどうをみるために割いているときに,「かかわりすぎ」と言えます。

学校が終わるとまっすぐ家に帰ってきて,障害のある兄弟姉妹のめんどうをみる子を,多くの大人は何の問題もない子として,「偉い子」「よい子」としてほめるでしょう。けれども,子どもの成長のためには,友だちと遊ぶこと,学校での課外活動に参加すること,ギターや水泳など自分の好きなものを習うことなども大切です。

障害のある兄弟姉妹にかかわり過ぎている子どもは,自分自身の人生を無視しています。ほかの人やほかのことに対する興味のためにエネルギーや時間をまったく持たないでしょう。また,かかわりすぎはエネルギーと新しい考えがつきてしまう「燃えつき」に至る可能性をもっています。

どうやってかかわりすぎを防ぐことができるでしょう。障害をもつ子どもだけでなく,家族のだれにでも必要としているものがあるということを思い出すことによって,防ぐことができます。

参考文献;
Living With a Brother or Sister With Special Needs: A Book for Sibs
Special Siblings by Mary McHugh

11.喪失感/悲嘆

12.恐怖/恐れ (2017/8/19更新)

米国きょうだい支援プロジェクトのマイヤーさんは書籍の中で取り上げていませんが,オーストラリアのSiblings Australiaのケイト(Kate Strohm)さんや米国のメアリー(Mary McHugh)さんが取り上げているテーマに「怖れ Fear」があります。その一部はマイヤーさんは「心配 Worry」として取り上げている内容ですので,それらに関しては別のところに書きます。

・きょうだいは,障がいのある兄弟姉妹の安全について心配し,兄弟姉妹が死んでしまうのではないかと恐れていることがあります。特に入院というできごとが起きた際に,何が起きているのかきちんと説明されないとこの恐れは増幅します。

・きょうだいは,失敗することを極度に恐れていることがあります。親が落胆することを自分がしてしまったら親に見捨てられるという「見捨てられ不安」をもっていることもあります。

・障がいのある兄弟姉妹に暴力をふるうなど問題行動があると,きょうだいは自分の身の安全を守れないと恐怖を抱いていることがあります。悲しいことですが,幼い頃に障がいのある兄に暴力をふるわれ続け,親に訴えても事実を信じてもらえなかったという経験をもつ女性もいます。

・問題行動に加えて私がこの項目でいつもお話するのは,大事な物を(何度も)壊された経験をもつきょうだいのことです。この経験がもつ影響の大きさを的確に書いてくれているのは,『What About Me?』の著者の一人であるスチュアート(Stuart Silverstein)さんです。この本には,障がいのある兄によって自分の洋服を引き裂かれても,不満や怒りを表現することを許されなかった妹さんの話が書かれています。

・きょうだいがこれらの恐れの感情をもっていても,話せる場がないことのほうが多いのです。被害や危害を被っても,それを黙って耐えるしかなかった経験をもつきょうだいもいるのです。

・今きょうだい児を育てている親御さんに伝えたいことは,次の5つです。
障がいや病気に関する年齢に応じた情報を伝え,恐れが増幅しないようにする。
きょうだいのトライ・アンド・エラーを認める。
きょうだいの逃げ場をつくる。安全な場所を確保する。
大事な物をしまっておける鍵付きの部屋や保管箱を用意する。
大事な物をしまっておかなかったきょうだいを責めるのではなく,大事な物を壊されたきょうだいの怒りを受けとめる。

参考文献;
Being The Other One: Growing Up With A Brother Or Sister Who Has Special Needs by Kate Strohm (21-24p,54-56p)
Special Siblings by Mary McHugh (18, 121-122p)
What About Me? Growing Up with a Developmentally Disabled Sibling by Bryna Siegel and Stuart Silverstein (11-16p)

13.信仰の喪失

14.早熟

 

15.抑うつ/摂食障害

 

16.友達/結婚相手 (2017/8/7更新)

きょうだいは,障がいのある兄弟姉妹がいることが原因で,いじめやからかいを受けることがあります。
きょうだいは,友だちが障がいのある人のことをからかう場面に居合わせて,いやな思いをすることがあります。
きょうだいは,友だちから「おまえの弟には障がいがあるから,お前も障がいがあるんだろう」と言われることがあります。
きょうだいは,友だちがいるところで,障がいのある兄弟姉妹がした行動で恥ずかしいと思うことがあります。


参考文献;
Living With a Brother or Sister With Special Needs: A Book for Sibs

17.アダルト・チャイルド

きょうだいの人間的成長の可能性

  1. 成熟

  2. 洞察力/思いやり

  3. 違いを受け入れる/寛容/忍耐

  4. 職業選択

  5. 誇り

  6. 忠誠心

  7. 権利擁護

  8. 無私(見返りを求めないで人を助ける)

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